中期メディア戦略におけるKPI最適化のプロ

【ゲスト】宮田さん

【インタビュアー】株式会社ビースタイル 代表取締役社長 三原邦彦

【ライター】荒川雅子


宮田さんは、A.T.カーニー株式会社にて SI 系企業、テレビ局、大手金融機関など幅広い顧客を支援されました。その後、メディア系上場企業にて、B to B to C、B to B、C to Cの多岐にわたるネットビジネスの新規事業立ち上げや中長期戦略立案を経験。旅行事業プロダクトの責任者のほか、金融サービスの責任者を歴任されています。

2016 年より新規事業・企業変革の顧問・コンサル業をスタートされ、新規事業の立案や事業推進フェーズでのKPI マネジメントによる事業成長をサポートされている同氏に、当社社長の三原がインタビューさせていただきました。宮田さんの現在のお仕事やこれまでの経歴、ご自身の強みなどについてお話しいただきました。


宮田

私はいままで、主に旅行事業プロダクトの責任者を担当し、中長期戦略の立案やKPIの設定をしてまいりました。旅行事業は、国内宿、海外宿のほか、ゴルフや遊び体験などのアクティビティ系のプロダクトを含む旅行領域全般を取り扱っていました。

ミッションはシンプルに、旅行事業の利益達成です。


三原

プロダクトごとの営業利益を決めて、年次予算を作って、ビジネスをやるということですか?


宮田

はい。チャレンジすべきテーマを決めて中長期に向けた仕込みを考えるとともに、経営からの利益要請と事業のチャレンジのバランスを取りながら年次の予算化を行います。その予算化の収支責任を負いながら、プロダクト成長を目指して1年間PDCAを回してビジネスを推進しました。


三原

実務として一番されていたことは何ですか?


宮田

一番は、中長期戦略を考えて、それを実現するために組織を一番効率的に運用する方法を考えていました。トラブルシューティングのようなことをしたりすることもあります。


三原

でも、ずっと中長期の戦略を考えているわけではないですよね?


宮田

もちろん短期的なKPIもありますので達成に向けて日々業務を推進しています。一方で短期的なKPIの達成ばかりに集中しすぎると将来を考えられなくなるので、そのバランスを取りながら、中長期戦略を考えていました。計画に対して短期的に取り組まなければいけないことを論点化し、中長期視点でいまのうちから取り組んでおくべきことを論点化して、優先順位をつけて限られた時間の中でそれらを1個1個取り組みながら、進捗管理をしています。


三原

なるほど。中長期的な軸で考えないと2~3年後の数字を作れないですもんね。


宮田

はい。また、今取り扱っているネットサービスでは、突然脅威が出てくることがあります。元々はそんなに気にしていなかった新しいサービスが登場して、行政が動くこともあります。例えば、AIが登場したら「AIを使うのか、使わないのか」というように、アップデートのたびにこれまでになかったリスクシナリオを考えなければいけません。

ですので、他社の新規事業やベンチャー企業の登場をめちゃくちゃウォッチしています。


三原

とてもよくわかります。

グロースハック中心で目の前のことをがりがりやりながら数字追っていく人たちと、2~3年後を考える人たちとで、企画も二つにわけないといけないですよね。競合が突然現れたり、強くなったりしますからね。


三原

大学を卒業されてからは、何をされていたのですか?


宮田

A.T.カーニーで、戦略コンサルティングをしていました。

人数が少なかったので領域の縛りはなくて、色々なテーマのプロジェクトを担当しました。

その中でも、一番やり切ったと思う案件は、テレビ局のプロジェクトです。テレビ局の肝である番組編成の戦略を考えるという結構珍しいプロジェクトでした。

テレビではよく視聴率が重要視されているといますけど、視聴率が高くても実は赤字だったり、逆にすごくローカルな番組のほうが利益を出していたりしました。


三原

なるほどね。夜のアニメの方が利益があったり、視聴率取れていたりとか。


宮田

そうなんです。深夜アニメは視聴率も高いし、DVDの売上も入るので、全然良いじゃないですか、みたいな。その局は、その後ここ10年くらいは順調だそうです。楽しいプロジェクトでした。


三原

あえて3年で辞めたのには、何か理由はあるんですか?


宮田

元々就職するときはモラトリアムな時期でやりたい業界ややりたいことが不明確だったので、いろいろな業種やテーマを見たかったんですね。そのうえで、筋トレみたいにどこでも役に立つようなベーススキルが身につくのはどこだろうと考えた末、コンサルと投資銀行やVCなどの金融で迷って、コンサルに行きました。

ただ、少し余裕ができてきた頃に、「デジタルの世界がどんどん急成長している中で、100%のコンサルスキルはいらないのではないか」と思い、デジタル領域の事業会社に行くか、改めてVCに行ってファイナンスを身に着けるかを考えていたんです。

そのような中で、やっぱり事業会社で働いてみたいと思う気持ちが強くありました。コンサル時代、あるプロジェクトで再生案件を担当した際に事業撤退を決めた会社の社長さんに事業撤退の方針を伝える場で、「僕ら社員と社員の家族の人生をどう思っているんだ」と言われたことがあって、僕はその時強く言い返せなかったんですよ。その時は上司にも「言われて引き下がるような中途半端な戦略を考えたのか」と怒られて。でも、自分が手触り感のある事業運営をしたことない中で、急にプロサッカー選手に経験もないのにコーチのように指南するのには、違和感をすごく感じました。それもきっかけでデジタル領域の事業会社に転職を決めました。


三原

なるほどね。それで、転職されてからは、先ほどの冒頭で話していたポジションをずっと担当されていたんですか?


宮田

そうですね。

当時はスマートデバイスをがんばらなきゃという時代背景もあり、スマートデバイス推進プロジェクトの推進やKPI設定をやっていたんですが、たまたま買収を検討している企業のデューデリをやっていた時に、「これは、買わずに自社でやったほうがいいんじゃないですか?」と言ったところ、そこからいきなりプロデューサーに任命されました。それで、経験なしで新規事業を立ち上げることになって、大失敗して(笑)。でも失敗しながらも、前のめりだったところを評価していただけたのか、そこからは新規事業や規模の大きい他領域のプロダクトの事業企画の両方を経験させてもらいました。


三原

得意分野や、今後やりたいことはありますか?


宮田

僕は残念ながらスーパーコンサルではなかったですが、構造化、コミュニケーション能力、調整力などのコンサルタントの基本的なスキルは、事業を推進できる最低限のレベルは身に着けることができたと思っています。


三原

スーパーコンサルというのは、どんな人を言うんですか?


宮田

僕が知っている人だと、例えば通常なら3~4人で2~3か月かけてやるところを、1人で2~3日で終わらせてしまいます。でも逆に言うと、スーパーコンサルの人は、事業会社では働けないんじゃないかなとも思います。


三原

それは、問題解決が好きすぎて、問題がたくさんあるところに行きたいからですかね。


宮田

それもあります。

論理的には正しいと思える解決策は提示できるんですが、実際に現場に落とし込む際に生じる具体的な問題。例えば人の感情や政治的要因となる問題が絡むと、さらに工夫を加えなくてはならなくなるためコンサル的アプローチでは解決ができなくなることが多いと考えています。


三原

確かに、事業を経営するとなると、実際には現実的な問題の連続だからね。


宮田

コンサルは、ロジックが正しいか、正しくないかで評価する世界ですが、人はロジックだけでは動かないし、変わってくれないんですよね。

コンサル業を貫いた人は、そういった現場の具体的な問題に向き合う覚悟がないと、年を取ってからコンサル以外の事業会社に入っていきなりメンバーを持って事業を推進するのは、おそらく難しいだろうと思います。

でも逆にデジタル分野のほうから見ると、僕はコードをかけないのでそちらのスペシャリストにもなれない。それは自分のコンプレックスでもあるんですけれども、ロジカルな世界とクリエイティブな世界のあいのこみたいになっているんです。でもだからこそ、そうした、経営と現場の間を橋渡しするスキルは、すごくあると思っています。


三原

今のお仕事をしながら、お仕事の幅を広げたい、いろいろな市場のお仕事を受けてみたいと思った理由は何ですか?


宮田

いろいろな相談を受けていて気付いたことは、近年はグローバルでもデジタル領域に進出し始めたコンサルファームが増えてきていますが、僕のようにデジタル分野で実務経験を積んで新規事業の立ち上げや運営の知見があるコンサルタントって、意外と少ないんですよね。

そこで、それまで知人からの紹介だけでやっていたんですけど、せっかくならば幅を広げようと思いました。


三原

宮田さんは新規事業立ち上げのどのフェーズでお手伝いが可能なんですか?


宮田

例えば事業の成長フェーズが0→1、1→10、10→100とあったとき、自分は10→100が一番強いんですけど、これまで繰り返してきた経験から0→1や1→10のアプローチ方法も蓄積されていましたので、どのフェーズでもお手伝いは出来ると思っています。

10→100の場合は世にいうコンサル的な立ち位置になるので大歓迎なのですが、0→1のフェーズと1→10のフェーズの場合は関わり方が変わってくるかなと思っています。

僕は、0→1のときは本当にコアなメンバーが自分たちの情熱を注ぎ込んでやったほうが良いと思っているので、顧問的な役割で関わるのが良いと思っています。

1→10もそれと近いんですけど、しっかりとプロダクトオーナーを一人つけてコミットさせることが大事だと思うので、僕自身がプロダクトオーナーをやるのではなく、そのサポーターとしての関わる形が良いと思います。

フェーズに関わらず、経営者さんやプロダクトオーナーさんが困っているところに入って、サポートさせていただけたらと思います。


三原

どのような業種や分野でご自身の能力を発揮できそうですか?


宮田

大企業のように旧態依然的なところが、デジタル戦略に踏み出したいという時が適任だと思います。ベンチャーの場合は、新規事業を1個作って上手くいっていて、2個目の新規事業を作りたいというとき、僕は2個目3個目が当たる確率は低いと思っているのですが、しなくて良い失敗を減らしたり、学びを得られるチャレンジにするなど当たる確率を上げるアプローチならできるかなと思います。


三原

確かに、新規事業の作り方として、既存の組織の枠組みの中から新市場に挑戦するのか、組織も市場も刷新して挑戦するのかで、企業が取る形が変わってきますもんね。


宮田

そうですね。あまり大それたことは言えないんですけれども、新規事業の成否や成長カーブは、その事業に対する覚悟で決まると思っています。僕のスキルや経験が、情熱を持って事業を立ち上げようとする経営者やプロダクトオーナーの方の助けになれたらと思います。


A.T.カーニー株式会社

SI系企業、テレビ局、外資系製薬会社、大手金融機関、大手航空会社などの幅広い顧客に対して上流戦略の立案・買収スキームの構築・コスト削減・国家戦略に基づいた企業ロビー活動の支援などを担当


消費・娯楽領域の大手メディア運営会社

旅行事業プロダクトの責任者

金融サービスの責任者 など


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